会社設立の目的のひとつに節税がありますが、不動産に関しても、法人化により相続税対策を進めることができます。それでは、法人化すると、どのような流れで節税をはたせるのでしょうか。法人化するメリット・デメリットとあわせて解説しましょう。
不動産は法人化で相続税対策ができる
法人化によって不動産の節税効果を生み出せる理由は、以下のとおりです。
<法人化で不動産の節税効果を生み出す理由>
- 所得税を法人税に変えられる
- 給与所得控除を受けられる
- 欠損金の繰り越し控除期間が長くなる
それぞれをわかりやすく解説します。
所得税を法人税に変えられる
個人で不動産運用をおこなった場合、収益は所得としてカウントされ、累進課税によって課税されます。所得税率は最大45%で、収入が増えれば増えるほど高額な税金を支払わなければなりません。
これを法人化することにより、不動産を通じた所得への課税を法人税に置き換えられます。 法人税は累進課税ではなく、最大で23.20% に定められているため、とくに高額な家賃収入を得ている場合は、高い節税効果を生み出すことが可能です。
また、相続税の税率にも累進課税が採用されていますが、法人化によって税負担を削減できます。役員報酬という形をとって資産を移すことにより、高額な相続税を避けて、実質的な資産相続が可能になるのです。
給与所得控除を受けられる
個人で不動産運用をおこなう場合は、売り上げから必要経費を差し引いた金額すべてが事業所得となり、これに所得税が課税されます。一方で法人化すると、家賃収入を「給与」とみなせることになり、給与所得控除の対象とすることが可能です。これにより、さらに家賃収入による課税を減らすことができます。
欠損金の繰り越し控除期間が長くなる
不動産運用によって赤字が発生した場合、これを翌年以降に繰り越し、黒字分から差し引けるのは、個人も法人も同じです。ただし、繰り越し控除期間は異なり、個人が3年であることに対して、法人は10年と長くなります。これも、法人化が有利な理由のひとつです。
不動産の法人化で相続税対策をする際のポイント
法人化する際は、以下のポイントを守ることが大切です。
<法人化する際のポイント>
- 資本金は1,000万円未満にする
- 相続人を役員に任命する
- 建物は法人の所有にする
順番にチェックしていきましょう。
資本金は1,000万円未満にする
資本金が1,000万円未満の場合、設立から最初の2年に限り、消費税の納税が免除されます。不動産運用は初年度からの黒字を見込みやすいため、節税効果を高めるために、資本金は1,000万円未満に抑えましょう。
相続人を役員に任命する
相続人を役員として任命することもポイントです。相続人を単なる社員として扱うと、勤務実態を付けなければなりません。役員として扱うことにより、労働時間の縛りが付かなくなるため、これまでどおりの生活を続けながら節税効果を生み出せます。
建物は法人の所有にする
家賃収入を得るのは土地ではなく建物になるため、法人化する際は、建物を個人から法人へと売却しましょう。この際の価額は未償却残高を使って譲渡できるため、譲渡益が発生したとしても、個人にかかる所得税を軽減させられます。
不動産の法人化で相続税対策をおこなう際のデメリット
法人化によるデメリットにも着目しておきましょう。
<法人化によるデメリット>
- 赤字でも税金がかかる
- 社会保険への加入が義務付けられる
- 会計処理に時間やコストがかかる
それぞれの項目を簡潔にお伝えします。
赤字でも税金がかかる
法人化した場合、たとえ赤字でも均等割りによって、年間7万円ほどの税金を支払う必要が生じます。個人で不動産運用をおこなっている場合、赤字を計上した年度に住民税を課税されることはないため、短期的に見れば、むしろ税金が増えるリスクがある点には注意すべきです。
社会保険への加入が義務付けられる
法人化に伴い、社会保険への加入が義務付けられます。社員の厚生年金と健康保険の半額を負担する義務が生じることに加え、労災保険に関しては全額負担となるリスクが発生することにも要注意です。
会計処理に時間やコストがかかる
法人化によって複数の人物に報酬を分配することになるため、会計処理に時間がかかります。個人で対応することが困難な場合、税理士などの専門家に依頼する必要が生じ、コストがかさみやすくなる点もデメリットです。
まとめ
法人化によって、不動産にかかる諸々の税金を抑えることが可能です。とくに高額な家賃収入がある場合は節税効果が強まるため、タイミングを計りながら法人化を試みましょう。
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