不動産の生前贈与は節税に効果的?メリット・デメリットと実行する場合の手順を紹介

相続税対策として生前贈与は、極めてポピュラーです。「生前贈与=現金」というイメージが強いかもしれませんが、実は不動産を生前贈与することもできます。この記事では、不動産を生前贈与するメリット・デメリット、そして実行する場合の手順を余すところなく解説します。

 

不動産を生前贈与するメリット

不動産を生前贈与するメリットは、以下の3点です。

<不動産を生前贈与するメリット>

  • 相続税を支払うよりも高い節税効果を見込める
  • 自分自身の意思で相続人を決められる
  • 贈与税の配偶者控除を適用できる場合がある

順番に確認していきましょう。

相続税を支払うよりも高い節税効果を見込める

相続税には累進課税が適用され、最大の税率は55%にもおよびます。一方で不動産を生前贈与する場合、税金の種類が、相続税から贈与税に置き換わることがポイントです。

贈与税の最高税率も相続税と同じ55%ですが、一括で相続する相続税と違い、贈与は1年ごとに区切りを付けておこなえます。贈与額をコントロールすることにより税率を減らすことができ、相続税を支払うよりも高い節税効果を見込めるのです。

自分自身の意思で相続人を決められる

一般的な相続では、被相続人の死後に遺産分割協議がおこなわれ、誰がどの財産を相続するのかを決めます。遺言書を遺すことはできるものの、遺留分が認められることもあり、必ずしも被相続人の思惑どおりに相続が進むとは限りません。しかし生前贈与なら、確実に自らの意思で相続人を決められます。

贈与税の配偶者控除を適用できる場合がある

婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、贈与税の配偶者控除を適用できます。これにより、贈与税から2,000万円の控除と年間110万円の基礎控除を差し引けるため、評価額が2,000万円前後の不動産の場合は、課税なしで実質的に相続できる確率が高まるのです。

不動産を生前贈与する際のデメリット

不動産を生前贈与する際のデメリットは、以下の3点です。

<不動産を生前贈与する際のデメリット>

  • 長期間の定額贈与には落とし穴がある
  • 贈与が成立しない可能性がある
  • 確実な贈与には贈与契約書の作成が必要

順番にチェックしていきましょう。

長期間の定額贈与には落とし穴がある

仮に1,000万円の贈与を計画し、年間110万円までの基礎控除を適用する場合、10年かけて贈与すると贈与税0円で、全額の贈与が完了します。しかし、計画した10年の途中で被相続人が死亡した場合は計画が崩れ、未贈与分がすべて相続税の課税対象となるため、要注意です。

贈与が成立しない可能性がある

相続開始からさかのぼって3年以内に行った贈与は、贈与として認められず、相続財産として加算される点にも注意しましょう。たとえば余命宣告を受けた場合などに慌てて贈与を開始したとしても、相続税逃れと判断され、贈与税の適用が認められません。

確実な贈与には贈与契約書の作成が必要

贈与税の基礎控除を受けるためには、金銭の支払いが贈与であることを税務署に認めてもらう必要があります。確実な贈与のためには「贈与契約書」を作成して贈与を証明しなければならず、これを作成するための手間や費用がかかることも難点です。

不動産を生前贈与するまでの流れ

不動産を生前贈与するまでの基本的な流れをご紹介します。

1. 登記事項証明書等の必要書類を取得する

生前贈与には、以下の書類が必要です。

<必要書類のリスト>

  • 登記事項証明書
  • 登記済証
  • 固定資産評価証明書
  • 贈与する人の印鑑証明書
  • 贈与される人の住民票

これらの書類は、後述する贈与契約書の作成において必要です。

2. 贈与契約書を作成する

贈与をおこなうことを記録するために、贈与契約書を作成して法務局に提出します。贈与契約書には、誰が誰に対してどの不動産を贈与するのかを細かく記しましょう。この書類に、贈与する人と贈与される人がそれぞれ署名・押印すると、契約書が有効になります。

3. 所有権を移転させる

最後に、不動産の名義変更をおこないます。先ほどリストアップした書類と贈与契約書を持ち、贈与する不動産を管轄する法務局で手続きをおこなえば、不動産の生前贈与は完了です。

まとめ

不動産を生前贈与することで、相続税を贈与税に置き換えられます。これにより節税効果を見込めるほか、不動産を引き継がせたい相続人に対して、確実に不動産を相続させることが可能です。メリットとデメリットを確認したうえで、贈与の手続きをおこないましょう。

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