不動産である以上、空き家にも、固定資産税がかかります。ここまでは多くの人が納得できる話だと思いますが、空き家の状態によっては通常の6倍の固定資産税がかかるため、注意しなければなりません。本記事では、固定資産税6倍の「特定空き家」に指定される条件と、回避する方法を紹介します。
空き家の固定資産税にも減税が適用される
そもそも、不動産の固定資産税には、減税が適用されています。減税される割合は住宅の規模によって異なり、以下のとおりになります。
<住宅用地の減税特例>
- 200m2以下の小規模住宅用地:固定資産税評価額の1/6
- 200m2以上の一般住宅用地:固定資産税評価額の1/3
減税を含めた固定資産税の計算方法は、以下のとおりです。
<固定資産税の計算方法(減税を含む)>
- 固定資産税評価額×1/6×1.4%
「固定資産税評価額が2,000万円の小規模住宅用地」と仮定して、税額をシミュレーションしてみましょう。
<シミュレーション結果>
- 2,000万円×1/6×1.4%=46,666円
これが空き家の固定資産税の基本的な計算方法です。
「特定空き家」の固定資産税は通常の6倍に跳ね上がる
空き家の固定資産税にかかる固定資産税は、先述したとおりですが、これはあくまでも減税の特例を利用した場合の計算方法です。「特定空き家」に指定された場合、減税の適用外となり、固定資産税の計算方法が以下のように変わるため、注意しましょう。
<特定空き家の固定資産税計算方法>
- 固定資産税評価額×1.4%
先ほどと同じ「固定資産税評価額が2,000万円の小規模住宅用地」と仮定して、税額をシミュレーションしてみましょう。
<シミュレーション結果>
- 2,000万円×1.4%=280,000円
このように、特定空き家の固定資産税は、通常の6倍に跳ね上がってしまいます。
特定空き家に指定される条件
特定空き家に指定される条件をまとめました。
<特定空き家に指定される条件>
- 倒壊している、もしくは倒壊のリスクが高い状態
- 衛生面での問題が生じている状態
- 景観を著しく損なっている状態
- 周辺の生活環境を損なわせている状態
このように、周囲に不利益やリスクをおよぼす可能性があると判断された場合、特定空き家に指定される可能性が高くなります。
特定空き家に指定されるまでの流れ
特定空き家に指定されるまでの流れを紹介します。
<特定空き家に指定されるまでの流れ>
- 行政に通報、もしくは相談の連絡が入る
- 所有者に対して問い合わせが行われる
- 管理状況が確認され、指導が行われる
- 行政による現地調査が行われる
- 特定空き家とみなすべきかの判断が下される
突然「特定空き家」と認定され、予告なく高額な固定資産税が請求されることはありません。指導を受けた段階で改善できれば、特定空き家の指定を免れる可能性があります。
特定空き家による高額な固定資産税を避ける方法
特定空き家の指定を避け、高額な固定資産税を免れる方法は、5つあります。
<特定空き家の指定を免れる方法>
- 行政の指導に沿って修繕する
- 賃貸に出す
- 親族に住んでもらう
- 解体する
- 売却する
わかりやすく解説しましょう。
行政の指導に沿って修繕する
空き家だとしても、先述した条件に当てはまらなければ、減税の特例を活用できます。行政からの指導を受けた段階で修繕等の対策をとると、特定空き家の指定を免れられる可能性があります。
賃貸に出す
空き家の活用法として有効なのは、賃貸に出すことです。修繕にお金をかけたまま放置するのはもったいないですし、管理が行き届かずに、ふたたび指定空き家とみなされるリスクも再燃します。固定資産税を抑えつつ家賃収入を得るのは、賢い選択といえるでしょう。
親族に住んでもらう
空き家に誰かが住めば、その物件は、そもそも空き家ではなくなります。自分自身が住みたくない場合や、住めない事情がある場合は、親族などの第三者に住んでもらうのも、有効な選択肢のひとつです。
解体する
解体して更地にすれば空き家はなくなり、所有する土地に対する固定資産税のみが課税されます。空地として保有しても、駐車場などに変えて土地活用してもいいでしょう。
売却する
用途が見つからなかった場合の最終手段が、売却です。売却によって得た資金を不動産投資に回し、別の場所で資産を運用するのもオススメです。
まとめ
空き家にも固定資産税がかかり、指定空き家とみなされた場合は、減税の特例も受けられません。指定空き家を免れる方法は全部で5つあるので、行政からの指導を受けた場合は、できるだけ早く対策をとりましょう。
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