アパート・マンションは、約10年に1度のペースで、大規模修繕を実施する必要があります。オーナーにとって気になるのは、大規模修繕の内容と費用ではないでしょうか。この記事では、入居者への通知方法も交えながら、賃貸の大規模修繕の中身を徹底解説します。
賃貸の大規模修繕の内容
大規模修繕の内容は、主に以下の4点です。
＜賃貸の大規模修繕の内容＞
- 外装・共用部の検査と修繕
- 外壁洗浄
- 外壁塗装
- 防水工事
それぞれどのような作業で、何のためにおこなうのか解説します。
外装・共用部の検査と修繕
コンクリートのひび割れや金属の腐食、漏水の有無などを検査するのが、大規模修繕の第一歩です。問題が認められる場合や、今後の劣化が見込まれる部分には、修繕工事を実施します。駐車場やエレベーターなどの設備がある場合は、一時的に運用を停止したうえで、検査・修繕が必要です。
外壁洗浄
雨や風などの影響を受けて汚れた外壁を、洗浄します。汚れた状態のまま放置していると、やがてひび割れや変色などのトラブルが発生し、建物の資産価値が下がるため、定期的な洗浄が必要です。建設当時の美観を取り戻せることも、メリットといえます。
外壁塗装
外壁塗装をおこなうことで、建物の見栄えをよくし、さらに防水機能・断熱機能を回復させられます。先述した外壁洗浄をおこない、汚れを浮かしたうえで塗装作業に移ることが一般的です。
防水工事
屋上やベランダは、雨にさらされる機会が多く、劣化してひび割れなどを起こすと、水漏れ被害が発生しやすくなります。これを防ぐための防水工事も、大規模修繕に含まれることが普通です。
賃貸の大規模修繕にかかる費用の目安
大規模修繕にかかる費用総額は、目安として1,000～3,000万円前後です。 金額は建物の規模や実施する修繕の内容によって異なり、場合によっては3,000万円を上回る場合もあるでしょう。日頃から細かなメンテナンスを実施することにより、高額な費用がかかる修繕を避けられる場合もあり、大規模修繕のコストを抑えやすくなります。
大規模修繕の費用は「修繕積立金」から賄う
大規模修繕の費用は修繕積立金から賄うことが一般的です。10年に1度程度の工事とはいえ、数千万円単位の出費を1度におこなうのは困難ですから、大規模修繕に備えて、毎月一定額を積み立てましょう。また、賃貸の場合は、入居者に修繕積立金という名目で家賃以外の支払いを求めるのは一般的ではありません。 家賃収入の一部をプールして、大規模修繕に備えましょう。
工事期間中に家賃等を値引くことは基本的にない
大規模修繕の工事期間中は、外壁洗浄・外壁塗装のために足場を組む場合が多いため、景観が悪くなります。また、ベランダ・バルコニー、駐車場などの設備が一定の期間使えなくなる場合もあるでしょう。工事に伴う騒音やにおいも発生するため、入居者は不満やストレスを抱えがちです。
しかし大規模修繕は建物の維持・管理に必要不可欠なもので、実施しなければ思わぬ事故に見舞われる可能性もあります。そのため、仮に入居者が大規模修繕による苦痛を訴えて家賃の減額等を望んできたとしても、基本的にはこれに応じる必要はありません。
賃貸で大規模修繕をする際の告知方法
大規模修繕の告知に関する情報をまとめました。
＜賃貸で大規模修繕をする際の告知方法＞
- 重要事項説明時に告知することが一般的
- 大規模修繕の告知義務はない
入居者とのトラブルを避けるためにも、告知に関する正しい知識を備えておきましょう。
重要事項説明時に告知することが一般的
大規模修繕の予告は、賃貸借契約を結ぶ際の重要事項説明時におこなうことが一般的です。前回実施した大規模修繕の日時や、次回の大規模修繕実施日の目安などを記載しておきましょう。ただし、次の項目で解説するとおり、大規模修繕の告知などを賃貸契約でおこなう義務はありません。
大規模修繕の告知義務はない
重要事項説明時に大規模修繕をおこなう日程の目安を伝えると親切ですが、これは義務ではありません。 しかし、入居希望者から大規模修繕の日時について問い合わせがあった場合は、今後のトラブルを避けるためにも、正直に予定の日時を伝えましょう。
まとめ
建物を正常に維持するためには、定期的な大規模修繕が必要です。大規模修繕の費用は目安として1,000～3,000万円で、建物の規模や工事の内容によって異なります。賃貸物件の場合は、家賃収入の一部を積み立てるなどして、大規模修繕に備えましょう。
ヘヤミセでは、入居者募集から建物管理までのサービスをパッケージに含めた賃貸管理プランをご用意しています。費用を準備するための方法に関する相談にも応じておりますので、大規模修繕に不安をお抱えの方も、当社までご連絡ください。
