不動産運用の手法のひとつに、リロケーションがあります。これは主に、出張や転勤などで自宅から離れざるを得なくなった際に、自宅を賃貸物件として貸し出して家賃収入を得る手法です。
この記事では、リロケーションのメリットや注意点、通常の賃貸契約(普通借家契約)との違いを詳しく解説します。しばらく利用しない不動産を所有している方は、ぜひリロケーションで資産を有効活用してください。
リロケーションとは
リロケーション(定期借家契約)とは、契約期間を明確に決めたうえで、自宅を賃貸に出す不動産運用手法です。仮に2年契約で2022年4月から賃貸を開始した場合、2024年4月の契約期間満了をもって借主が退去し、自宅に自分自身が戻れるようになります。
たとえば海外出張や転勤などで自宅から一定期間離れる場合や、家族の介護が必要になり、自宅から離れる場合などにリロケーションを活用すると有効です。気に入っている自宅を売却で手放すことなく、賃貸に出している間は、家賃収入を得られます。
リロケーションと普通借家契約との違い
普通借家契約にも契約期間がありますが、特別な事由が認められない限り、貸し主の意思だけで借主を退去させられません。借主がその物件に住み続けることを希望する場合、契約は自動的に延長されるのです。一定期間経過後に必ず自宅に戻れる保証があるかないかが、リロケーションと普通借家契約の違いです。
リロケーションのメリット
リロケーションのメリットとして、以下の3点を挙げられます。
<リロケーションのメリット>
- 自分が帰りたいタイミングで入居者が退去する
- 長期不在中に家賃収入を得られる
- 自宅の劣化を抑えて資産価値を守りやすくなる
具体的な内容を、各項目でご紹介しましょう。
自分が帰りたいタイミングで入居者が退去する
リロケーションでは、契約期間満了をもって、原則として入居者は退去します。たとえば「長期出張が終わる2年だけ貸したい」「10年間は首都圏で暮らして、定年退職後に地元の自宅に戻りたい」といった意思をおもちの場合、その希望にマッチする借主が見つかれば、不動産の有効活用が可能です。
長期不在中に家賃収入を得られる
長期不在中も、固定資産税などの維持費や住宅ローンの請求は続きます。空室にしていると大きな赤字が発生しますが、リロケーションによる家賃収入で穴埋めできることもメリットです。
自宅の劣化を抑えて資産価値を守りやすくなる
長期不在中は自宅内のメンテナンスができず、劣化のスピードを速めてしまいます。しかし、リロケーションで入居者が見つかれば、一定のメンテナンスを期待できるため、資産価値を守りやすくなる点もメリットです。とくに戸建ての場合、空き巣や落書き、放火などの被害も防ぎやすくなるでしょう。
リロケーションの注意点
リロケーションの注意点として、以下の4点をご紹介します。
<リロケーションの注意点>
- 集客しにくいため、家賃相場を下げる必要がある
- 家賃滞納などのリスクがある
- 住宅ローンが残っている場合は、金融機関の許可が必要になる
- 確定申告が必要な場合がある
順番に詳しく確認しておきましょう。
集客しにくいため家賃相場を下げる必要がある
借主の立場としては、一定期間経過後の退去を約束するのは、リスキーでもあります。引っ越しにも手間や費用がかかるため、とくに1~2年といった短期のリロケーションは、不人気になりがちです。集客するために、家賃を相場の1~2割減に設定する必要が生じるかもしれません。
家賃滞納などのリスクがある
入居者の決定後も、家賃滞納のリスクがあります。リロケーションのために清掃やリフォームを行った結果、家賃を滞納されると、収支ではマイナスです。家賃の管理や滞納時の回収にも対応できる管理会社を利用して、リスクを軽減させることをオススメします。
住宅ローンが残っている場合は金融機関の許可が必要になる
住宅ローンの残債がある物件をリロケーションする場合、金融機関からの許可が必要です。金融機関にリロケーションが認められなかった場合、そのまま住まない自宅を維持し続けるか、売却など別の方法に切り替えるかを選択しなければなりません。
確定申告が必要な場合がある
家賃収入などが年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。ただし、管理費や修繕費などの必要経費は、収入から差し引けます。仮に赤字が生じた場合、損益通算で税金の還付を受けられる可能性があり、赤字経営でも、メリットを感じられるケースも少なくありません。
まとめ
リロケーション(定期借家契約)とは、契約期間満了後に入居者の意思だけでは、賃貸借契約を延長できない契約方法です。2年後に必ず自宅に戻りたいといった貸し主の希望を実現させられる手法なので、自宅を手放さずに家賃収入を得たい方にオススメできます。
ヘヤミセでは、リロケーションに関するご相談全般に対応しています。状況に応じて普通借家契約へのシフトもでき、リロケーション後の管理業務もお任せいただくことが可能です。貸し主様の理想に寄り添うご提案を行えるため、リロケーションをお考えなら、当社までお気軽にご相談くださいませ。